モバイルゲーム: サードパーティのリターゲティングパートナーを利用するタイミング
7月 27, 2021
この記事は、Pablo Bereskyj氏を特集したRemergeのApptivateポッドキャストのエピソードを基にしています。Bereskyj氏は、アルゼンチンのブエノスアイレスに本社を置く国際的なゲーム企業であるEtermax社のMarketing Operations Managerで、以前は、Acuris、Mergermarket Group、Debtwireでビジネスインテリジェンスや財務分析を担当していました。
こちらのリンクから、Apptivateポッドキャストのエピソード93にアクセスできます。
ゲームアプリでは依然として強力なツールであるモバイルリターゲティング
モバイルゲーム業界では、ここ最近「一時停止」ボタンが押されたような形跡はありません。新型コロナウィルスのパンデミック下、市場は新たな高みに到達し、2021年第一四半期の消費者支出額は 220億ドルを超えました。これは過去最高であり、前年同期比で25%増となります。
このブームと業界全体の価値を考えれば、ゲームアプリが ユーザー獲得 (UA) に多大な費用を投じているのも不思議ではありません。しかしながら、リターゲティングは、アプリマーケティング担当者にとって依然として重要な収益ドライバーであり、それはAppleのApp Tracking Transparency (ATT) フレームワークが実装された後も変わっていません。リターゲティングやリエンゲージメントキャンペーンの勢いは衰えを見せず、IDトラフィック量は依然として多く、多くの企業が、強固でロイヤルティの高い顧客基盤を構築するためにこの利点を最大限に活用しています。
ゲームアプリにとってリターゲティングは、ユーザーのエンゲージメントを維持し、定期的にプレイしてもらうための、そして課金ユーザーにより多く、より頻繁に課金してもらうための動機を与える、強力な手段です。新規ユーザーを獲得するよりも、ユーザーをリターゲティングする方がコストを抑えられるため、長期的なリターゲティングキャンペーンを計画することは賢明な投資と言えます。では、これまでサードパーティのパートナーと提携してこなかった企業は、何から始めればよいのでしょうか。DSPを導入するのに適したタイミングはいつでしょうか。また、その際に企業が考慮しなければならないことは何でしょうか。
可能な限りコストを抑える
ゲームアプリは、ユーザー数を増やすためにUAに多額の費用をかける傾向にあります。そのため、リターゲティングのコストをできる限り抑えることが、この分野の企業にとっての優先事項になります。Pablo Bereskyj氏とEtermax社のチームにとって、これを自社のソリューションで行うことは非常に難しい課題でした。「(リターゲティングの)運用コストを考えれば、ほとんど不可能でした。利益が見込めないわけではありませんが、それは基本的にインストールがあってこそになります。」
新しい戦略を試そうとするマーケティング担当者が最初に利用するのは、Facebookであることが一般的です。しかし、Etermax社のTrivia Crackのようなカジュアルゲームアプリの場合、マーケティング担当者は予算を賢く使い、戦略に別の方法を加えることを検討する必要があります。こうしたゲームプラットフォームが1人のユーザーから生み出す価値は高いものですが、多くの場合、大手Eコマース企業のレベルには届いていません。そのためオープンプログラマティック市場を開拓してコストを下げることが重要になります。
« Facebookで想定したよりも低い価格帯を獲得できました。 »
PABLO BERESKYJ氏 - ETERMAX, MARKETING OPERATIONS MANAGER
スケールとクリック単価 (CPC) の検討
スケールは、マーケティングの一環としてリターゲティングを考える際に重要な要素になります。これは、多数のモバイルユーザーにリーチするDSPの能力を表します。オープンエクスチェンジにて、大量のインプレッションにアクセスできるということは、DSPがより多くのオークション結果を観察し、さまざまなトラフィックコンポーネントの市場価格を効率的に学習できるということです。
これは、サードパーティのパートナーに移行しようとするEtermax社にとっては非常に重要な点でした。そこでEtermax社はRemergeを選択しました。この点についてPablo Bereskyj氏は次のように述べています。「(Remergeでは)インプレッションを大量に獲得できるため、このようにオープンエクスチェンジにアクセスすることで、Facebookで想定していた価格よりも低い価格帯を獲得できました。」
リターゲティングに関しては、サードパーティのパートナーを戦略に加えることで、さらに多くのオーディエンスを獲得できる、より多様なマーケットプレイスへの扉が開かれます。プログラマティック広告は、何十万ものパブリッシャーへのアクセスを提供するもので、入札価格は市場で決まります。アプリのマーケティング担当者は、どこで、どのように、誰に広告を配信するかについて独自のパラメータを設定できるため、セルフアトリビューションのネットワークやGoogleやFacebook、Twitterなどのウォールドガーデンへの依存を解消することができます。
課金ユーザーとプレイヤー
また、リターゲティングの実行可能性を探る際には、収益機会がどこにあるかを特定することが重要です。Etermax社にとって、課金ユーザーの価値を正確に把握できることは画期的で、これがサードパーティのパートナーの利用を決める後押しになりました。
多くのゲームアプリと同様、Etermax社もはじめは、アプリ内課金を促進するため、課金ユーザーにゲームを楽しんでもらうことに集中しました。しかし、次のステップとしてリターゲティングに着手すると、これを効率的に実施できる、優れたパートナーの専門知識が必要なことに気づきました。
「(Remergeが)獲得していたCPCと、潜在的なターゲットとなる課金ユーザーの発見。この2つが、サードパーティのベンダー利用を決定する後押しになりました。当社は収益の90~95%が広告です。その意味では膨大なデイリーアクティブユーザー (DAU) を抱えていますが、その多くがインプレッションをスルーするだけで、課金ユーザーではありません。」
ゲームアプリがユーザー獲得の方針を転換することはありませんが、それと同時に、コアユーザーがそのアプリを十分に楽しめるようにすることで、コアユーザーの価値を最大化し続ける必要があります。ロイヤルユーザーが解約したり興味を失ったりした場合は、そのユーザーを取り戻すための戦略が必要になります。
« 統合には時間がかかるものです。それは、最初に越えなければならない山の1つです。 »
PABLO BERESKYJ氏 - ETERMAX, MARKETING OPERATIONS MANAGER
リターゲティングの前に
企業がリターゲティングについて考える前に、まず必要なのは、最高のユーザーエクスペリエンスを実現する製品があることです。つまり、消費者を引き付けておける、または最高の方法でサービスを提供できるアプリの準備ができていないのに、消費者を離さないためになぜ費用を投じる必要があるのでしょうか。
その上で、アプリ企業は成功のための基礎を築く必要があります。リターゲティングは、誰かに広告を表示し、いくつかのトラッキングリンクを設定して、MMPで結果を見るというような単純なものではありません。企業は、解約分析やリテンションのモデリングを実施し、過去の、または非アクティブな課金ユーザーを獲得するためにどれだけの費用を支払えるかを把握する必要があります。また、これらのシステムはすべて、相互に連携し、サードパーティベンダーの技術インフラと連携する必要があります。これは簡単なことではなく、かなりの労力を必要としますが、適切に行われれば、十二分の見返りを得られます。高いパフォーマンスと収益の増加につながるだけでなく、マーケティング担当者は、データとそこから得られる洞察が本物であると確信できるので、自信を持ってキャンペーンを実施することができます。
Pablo Bereskyj氏は「(リターゲティング)キャンペーンを開始する間に、すべてがきちんと整理されていることを確認しておく必要があります。統合には時間がかかるものです。最初に越えなければならない山の1つです」と述べています。
Bereskyj氏へのインタビューの全文については、Apptivateポッドキャストのエピソード93をお聞きください。
Remergeについて
Remergeは受賞歴のあるアプリマーケティングプラットフォームであり、世界で最も野心的なアプリがビジネスを成長させ、収益を上げ、ユーザーのロイヤリティを高めることを支援しています。2021年5月現在、Remergeはサービスを拡大し、アプリのリターゲティングサービスのほか、IDユーザーまたはIDが無いユーザーの獲得に関するサービスも提供しています。
詳しくは、当社のエキスパートにお問い合わせください。