アプリのリターゲティング測定を支えるインクリメンタリティ手法が最適である4つの理由
11月 17, 2021
アプリリターゲティングの将来性については不確かな部分もありますが、iOS 14.5のロールアウトの影響は、アドテク業界が予想したほど壊滅的なものではありませんでした。このマーケティング戦略に対してどうするか決めかねているアプリマーケターもいますが、IDトラフィックは依然として高い水準にあり、モバイルアプリの使用率と収益も依然として増加傾向です。リターゲティングはこれまでと変わらず、ユーザーを購入ファネルに誘導し、ロイヤルカスタマーに育てる高パフォーマンスのマーケティングチャンネルとして機能しています。
リテンションキャンペーンの開始や継続をためらっているアプリマーケターは、データに基づくことで安心を得ることができます。インクリメンタリティ測定は、マーケティング活動が本当に増分値に貢献しているかどうかを明らかにする科学的手法です。
インクリメンタリティ測定は新しい概念ではありませんが、モバイル広告に採用され始めたのはここ数年のことです。Remergeはアプリリターゲティング向けのインクリメンタリティ測定についての完全ガイドを制作し、マーケティング活動の測定に最適な4つの理由を明らかにしました。以降で、この4点について詳しく説明します。
インクリメンタリティは科学的な研究手法に基づいている
インクリメンタリティ測定は、薬効を調べるための医学的な実験モデルを基にした方法です。薬は、臨床試験を通して、その因果関係の可能性を検証しています。臨床試験は、患者を被験治療グループとコントロールグループの2つのグループにランダムに分けて行われます。被験治療グループは被験薬を投与し、コントロールグループは投与しません。結果に違いがあった場合は、これが被験治療の効果として測定されます。その効果はポジティブ (positive)、ネガティブ (negative)、存在しない (non-existent) のいずれかで測定されます。
モバイルアプリリターゲティングにおけるインクリメンタリティ測定も、この概念を踏襲しています。モバイルユーザーを、同じようにテストグループ (キャンペーン実施群)とコントロールグループ (キャンペーン非実施群) に分けます。テストグループは広告を受信し、マーケターがキャンペーンのパフォーマンスに対する効果を体系的に測定できます。
インクリメンタリティ測定で クリックスルーアトリビューションに伴う問題が軽減
アプリリターゲティングでは、コンバージョンを正しい広告に関連付ける方法がたくさんあります。この業界で最も良く知られているのが、ラストタッチアトリビューションモデルとマルチタッチアトリビューションモデルです。ラストタッチアトリビューションは、成果に結びついたラストクリックまたはラストインプレッションに貢献したラストチャンネルに割り当てるというものです。一方、マルチタッチアトリビューションは、成果に結びついたユーザーが接点をもった複数のタッチポイントに分割して割り当てるというものです。
これらのアトリビューションモデルは単純化と標準化が実現できる有効な手段ですが、すべてではないにしろ、ほとんどのモデルで現実が過度に単純化して表現されてしまいます。そのため、ラストクリックの盗用、アドフラウド、オーガニックカニバリゼーション、リアトリビューションなどの問題が発生します。こうした問題は、ラストクリックの獲得など、それらのKPIインセンティブに起因するため、各マーケティングキャンペーンの結果に影響を及ぼし、完全に信頼できるものではありません。インクリメンタリティ測定は、治験グループとコントロールグループの挙動の違いを記録する科学に基づいた測定システムを用いるため、こうした問題が軽減されます。
インクリメンタリティは従来のアトリビューションと併用できる
しかし、アトリビューションKPIはより標準化されており、あらゆるマーケティング活動に対して共通の基盤を提供しています。一方でインクリメンタリティの手法はデマンドサイドパートナー間で標準化されていません。そのため、多くのモバイルアプリマーケターがアトリビューションKPIの使用を継続したいと考えています。
アトリビューションとインクリメンタリティ測定は全く別の概念に基づくものです。 アプリ企業の中には、アトリビューションの設定を調整し、モデルが可能な限り正確であることを検証するために、インクリメンタリティの測定を行っているところもあります。2つの手法とそれぞれのKPIはある程度独立していますが、結果を比較してアトリビューションモデルを検証することができます。たとえば、増分CVsがアトリビューションコンバージョンよりも高い場合、パートナーが実際に提供しているコンバージョンよりも少ないコンバージョンが計測されているということになります。
インクリメンタリティKPIは事業目標と 結び付いている
インクリメンタリティKPIは、それぞれのキャンペーンの各ビジネスの収益への貢献度を測る場合にも役立ちます。また、適切なKPIを選択することが、各キャンペーンの有効性を測定する上で不可欠です。
どのKPIが適切かは、アプリ企業が属する業界や事業の目標によって異なります。増分収益、広告費の増分利益率 (iROAS)、増分CVs、増分CPA (iCPA) などが、最も一般的に使われている指標です。
ビジネスモデルがトラッキングされた収益に反映されていないアプリや、実際の収益がデータストリームから取得できない場合は、目標設定と成果の検証に増分CPA (iCPA) を確認するのが最も妥当な方法です。たとえば、フードデリバリーアプリではクライアントは注文金額に関わらず固定収益として2ドル得ることができます。この場合、iCPAの目標はコンバージョンイベントごとの収益と一致するはずです。
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アプリリターゲティングのためのインクリメンタリティ測定ガイド