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リターゲティングとユーザー獲得をクリエイティブ面で強化するための10のレッスン

プライバシー重視時代の昨今、アプリマーケターがモバイル広告のクリエイティブ戦略を策定・改善する際に取るべきステップとは何でしょうか。

当社のパートナー企業である InMobi社クリエイティブディレクターの Nate Barnes氏と、 AdColony (Digital Turbine社) シニア・グローバル・クリエイティブディレクターの Brian Janelli氏に、リターゲティングやユーザー獲得 (UA) キャンペーンにおけるクリエイティブの構築とテスト方法について、それぞれの見解を共有いただきました。

Nate Barnes氏, InMobi社 北米クリエイティブ・ディレクター

ブランド要素でストーリーを伝える

InMobiでは、多くのブランドが初めてモバイル広告でストーリーを伝える施策を支援してきました。私たちは常に、魅力的な広告フォーマットで、明確かつ説得力のあるメッセージでブランドストーリーを伝えることに重点を置いています。キャンペーンを開始する時にはいつも、ブランド、顧客、キャンペーンの目的に関するいくつかの重要な質問に答えていただいたクリエイティブブリーフをクライアントからいただきます。

アプリマーケターは、モバイル広告キャンペーンに同じ方法でアプローチする必要があります。そのためには、アプリの価値提案 (バリュープロポジション) をブランド力のあるストーリーとしてまとめ、使用頻度の高いアプリで受け入れる可能性が高いオーディエンスをターゲットとし、バナーブラインドネス (ユーザーが無意識にバナー広告を無視する現象) を打破してエンゲージメントにつながるクリエイティブを作成することに重点的に取り組まなければなりません。ブランドの原則や、独自のスタイル、メッセージ、芸術性を文書化したブランドスタイルガイドをクライアントがすでに持っている場合は、それは非常に役に立ちます。これらの基本がしっかり確立されていれば、キャンペーンの広告ユニットのクリエイティブ展開も、ごく自然にまとまっていくはずです。

リターゲティングクリエイティブで感情に訴える反応を喚起

アプリのリターゲティングキャンペーンを成功させるためには、強力なブランディングが不可欠です。ユーザーとのリエンゲージメントを図るときには、アプリやブランドとの間に築き上げてきただろう感情的なつながりとすぐにまたつなげることが極めて重要です。個人的には、自分が強く感じているブランドの広告が表示されると、たとえわずかであっても、自分の気持ちが動くのを感じます。そのアプリを使うと生産性が上がる、趣味が楽しくなる、新しいコンテンツに出会えるなど、自分がなぜそのアプリを好きなのかを思い出すのです。リターゲティングの目標は、そのような感情を呼び起こし、ユーザーが「またすぐにアプリを開いてみよう」と思ってくれるようにすることです。

リターゲティング広告の作成に関して、アプリマーケターは次のようなことができます。

  • ゲームのキャラクターやユーザーが識別できる独自のユーザーインターフェース (UI) 要素など、記憶に残る、またはユーザーと自然なつながりがもてるアプリやブランドの要素を活用する
  • アニメーションでユーザーの注意を引き、呼び戻す確率が要素へと導くことを忘れないようにする
  • シンプルなメッセージで、お気に入りの機能を思い出してもらったり、新しい機能を知らせたりする

リッチなメディアエクスペリエンスで認知から獲得へ

« 優れたモバイル広告の秘訣は、サプライズの要素にあると思います。 »

NATE BARNES氏, INMOBI社 北米クリエイティブディレクター

ユーザー獲得キャンペーンは、基本的にアプリのブランド認知キャンペーンです。ブランド認知プロジェクトは、可能な限り多くの人たちの目に触れるときに最良の結果を得ることができます。そのため、キャンペーンクリエイティブには常に全体的アプローチをお勧めします。これには、最大限のスケールに到達させるために広告のタイプやプレースメントを組み合わせて運用することも含まれます。広告ユニットごとにメッセージを提供することは重要であり、各フォーマットには固有の課題と利点があります。たとえば、バナーは注目を集めるために競争競争しなければなりませんが、巨大なスケールとリーチによってそれを補うことができます。多くの人は従来の動画広告をスキップすることに慣れていますが、アプリと同じアスペクト比で画面いっぱいに表示される巧妙な縦型動画広告では、著しく高い視聴完了率が得られます。

標準バナー広告と一緒に、またはコンパニオン広告で運用する場合、リッチなメディアエクスペリエンスは、認知を獲得に変換させる素晴らしい利点となります。このエンゲージメントは、最終的にダウンロードにつながる転機となることが多いのです。

素晴らしいモバイル広告の秘訣は、サプライズの要素にあると思います。私たちには、注意を引き、それを利用する瞬間しかないので、優れたデザインだけではユーザーの注目を集めるには必ずしも十分ではありません。私が好きなサプライズを用いたマーケティングの例は、ソニー・ピクチャーズの映画「ロスト・バケーション (原題: The Shallows)」向けに運用した動画インタースティシャル広告です。水中でもがく主人公の視点から、すぐに巨大なホオジロザメが画面に突進してくるフルスクリーン映像です。画面は粉々に砕け散ったようになり、ハプティック振動 (触覚振動) は「衝撃」時にスマートフォンを振動させます。サメが泳ぎ去ると、映画のロゴとコールトゥアクションが表示され、通常のプレロールビデオよりも高いクリック率が得られました。

クリエイティブのテーマを試す

科学的なテストを意味あるものにするためには、長期的なタイムラインにわたって、大規模なテストグループと多くのイテレーションが必要です。広告のテストは、広告の掲載、インサイトの収集、仮定に基づくクリエイティブの調整、改訂版のテスト、そしてデータが実用化されるまでこのサイクルを繰り返す必要があり、膨大な時間の投資です。これは非常に負担が大きく、時には逆効果に感じることもあります。

クリエイティブの多様性とこまめなクリエイティブの更新は、テストと同じくらい重要だと思います。まずは2~3種類の強力なデザインテーマを、さまざまなプレースメントやフォーマットで展開し、一般的なパフォーマンスをモニターしてみましょう。次のイテレーションでは、最もパフォーマンスの低いテーマを削除し、新しいテーマを追加します。これにより、効果の高い要素を絞り込みながら、視聴者の関心の低下を防ぐことができます。

クリエイティブなテーマとは、一つの広告ユニットを構成する独特のデザイン要素やコピーの選択肢を指します。これらのテーマ間の違いが大きいほど、テスト結果はより有用で意味のあるものになります。クリエイティブなテーマの違いには、ベクターアートの代わりに写真を使用することや、見出しの変更、色の選択、またはCTAフレーズのバリエーションが含まれる場合があります。課題は、各クリエイティブテーマがブランドのスタイルガイドに準拠し、一貫した体裁を維持することです。その理由は、オーディエンスがこれらすべてを基にブランドの印象を形成するためです。

ゲーム内広告を活用する

私たちのプラットフォームでは、フルスクリーン動画のインタースティシャル広告が主流で、究極の体験ができるリッチメディアエンドカードを備えた縦型動画です。このユニットは、VAST (動画広告配信規格) 動画の高いレンダリング率と試聴完了率に加え、通常はMRAID (Mobile Rich Media Ad Interface Definitions) を介してのみ可能な試聴完了後のリッチメディア体験を兼ね備えています。

動画とリッチメディアは、モバイル広告のチョコレートとピーナッツバターのようなもので、どちらも単独でも素晴らしいですが、組み合わせると飛躍的に良くなります。アプリマーケターにとって素晴らしいユースケースの一つは、アプリを宣伝するインフルエンサーを起用した15秒間の動画を作成後に、おなじみのブランド要素やスクリーンショットのギャラリーをすべて備えたアプリストアのようなリッチメディアページを作成することです。

もう1つの一般的なユースケースは、ゲームプレイの動画で、ダウンロードする前にユーザーにゲームを体験する機会を提供するプレイ可能なユニットを入れます。動画とリッチメディアエンドカードは、強力なワンツーパンチ広告ユニットなのです。Inmobi社での私の好きなことの1つは、クライアントがすでに作成されている素晴らしい動画を強化するためにリッチメディアエクスペリエンスを創り出すことです。

Inmobi社で、最も刺激的な新しいフォーマットの1つがゲーム内広告です。それは、映画やテレビでの商品プレースメントのように、ゲームプレイ内で広告キャンペーンに関係なく表示される広告です。このタイプの広告は、ユーザーエクスペリエンスを損なうことなく、ブランドの印象を繰り返し提供します。このようなゲーム内でのビュースルーは、キャンペーンの標準バナー、インタースティシャル、および動画のコンバージョン率を高める可能性があります。ゲーム内広告を効果的に行うには、さりげなさ、そして多様性が重要です。広告は短時間しか表示されないため、シンプルさが重要です。一方、ユーザーが広告を見ることにうんざりしないように、多様性が重要です。

Brian Janelli氏, Digital Turbine社 AdColonyシニアディレクター, グローバルクリエイティブ

目標、KPI、測定の戦術を定義する

クリエイティブなモバイル広告戦略の策定に着手するアプリマーケターは、最初にターゲット層、キャンペーンの主要KPI、およびキャンペーンの主な目的を測定する方法を決定する必要があります。キャンペーンの目標に基づいて、クリエイティブが体験の方向性やユーザーフローを決定します。マーケターがキャンペーンの開始前にデザイナーと協力して、広告専用のコンテンツを作成できる場合、優れたデザイン資産は通常、優れた完成品につながるため、成功はほぼ保証されます。最後に、アプリマーケターは、ユーザーに明確なメッセージを提示し、必要に応じてクリエイティブなベストプラクティスを実施するために、広告内でユーザーに交流を促すような場所を決定する必要があります。

顧客のペルソナを理解する

デザイナーは、元のキャンペーンの開始時と同様に多くの検討と努力をリターゲティング広告に注ぐ必要があります。制作中、すべてのステークホルダーは、消費者が日常非常に多くの広告にさらされることを心に留めておかなければなりません。そのため、リターゲティング広告は、レイアウトとコピーの両方の観点から、可能な限り自分だけに向けられていると感じてもらう必要があります。

小さなデバイスで読みやすくするために、コピーが18pt以上のフォントであることを確認することも重要です。また、コピーの背後にある背景画像は、文字とのコントラストが大きくなるようにシンプルにする必要があります。クリエイティブデザイナーは、コンバージョン率を最大化するために、カスタマージャーニー、ターゲット層、および以前のユーザー行動指標を完全に理解している必要があります。ペルソナをより包括的に理解すればするほど、ユーザージャーニーの設計を簡素化し、リターゲティングされたユーザー向けのメッセージを作成することに焦点を当てることが容易になります。

インストールまでの明確なパスをユーザーに提示する

ユーザーフローの複雑さに関係なく、デザイナーは、ユーザー獲得 (UA) キャンペーンを実行する際に、エクスペリエンス全体を通じて常に明確なCTAボタンを画面に表示させる必要があります。主な目的がユーザー獲得である場合、アプリマーケターは、インストールするためにタップするオプションを常にユーザーに提示する必要があります。

特にユーザー獲得のために広告をデザインする際に留意すべきいくつかのヒントは次のとおりです。

  • あらゆる画面サイズに適した向きとレイアウトの応答性を考慮する
  • ループするアンビエントアニメーションを使用して、CTAに注意を向けさせること。デザインに取り組むときは、鮮やかな色と大きくて、楽しいボタンが常に重要
  • 広告エクスペリエンスの冒頭からインパクトを与えること。簡潔なコピーに加えて、強調アニメーション、インタラクティブ性を高める音声フィードバックやハプティックス、アイコンなどでユーザーに明確な指示を与える

« クライアントにソリューションを提示する際には、プラットフォームでのプライバシー要件と最高の成果を発揮する機能におけるバランスをとる必要があります。 »

BRIAN JANELLI氏、DIGITAL TURBINE社

ユーザーが広告をタップするきっかけを探る

広告体験を通じてユーザーがタップしている細かなエンゲージメントデータを知ることは、非常に重要なことです。それを知ることで、ユーザーの離脱がどこで発生しているかに関するベストプラクティスを開発し、機能性ベンチマークを確立し、マーケターが特定のキャンペーン目的に合わせてクリエイティブを実行できるフレームワークを作成するのに役立ちます。

AdColony では、クリエイティブをテストするときにボタンを使用するのではなく、ナビゲーションにスワイプアクションを利用することで、ユーザーエンゲージメントが向上しました。これは、ユーザーがボタンをクリックしたときに広告エクスペリエンスからリダイレクトされると感じる可能性が高いためです。また、さまざまな A/B テストの結果、エンゲージメント方法に関する指示画面をユーザーに表示する広告は、通常、表示されない広告よりも優れた成果を発揮することもわかりました。指示における簡潔で直接的な言葉遣いは、コピーに付随する図像が持つ指示と同様に、より良いエンゲージメントに変換されます。

さらに、タップ可能な要素が増えても、必ずしもユーザーエンゲージメントが増えるとは限りません。最終的には、広告内のコンテンツに応じて離脱が発生するためです。認知キャンペーンのターゲットセグメント別に見ると、若年層は広告ユニット内での滞在時間が短いのに対し、成人層は広告とのエンゲージメントに時間をかける傾向があることがわかりました。

プライバシーと効果のバランスをとる

最近のプライバシーに関する変更により、ユーザーがモバイル広告体験をどのようにナビゲートするかを指示する新しい認定プロトコルが導入されました。例えば、ユーザーが端末を傾けてゲームをしたり、追加コンテンツを見たりするための加速度センサーへのアクセス許可を得ることが難しくなっています。つまり、クライアントにソリューションを提示する際には、プラットフォームでのプライバシー要件と最高の成果を発揮する機能におけるバランスをとる必要があります。プレイアブル広告の場合、フルレベルのインタラクティブ性ではなく、1つか2つの双方性をユーザーに提示した方が、ユーザー獲得指標が高くなることが分かっています。

また、若い世代のモバイルゲーマーは、より短い時間で意思決定を行うことに慣れているため、大規模なA/Bテスト広告を実行できるほど、より良い結果が得られるということが明らかになりました。OS開発者でさえ、アプリストアプラットフォームで、レイアウトや色調だけといった微妙な要素をテストして、デザイン要素をよりネイティブに感じさせていることに気付くでしょう。

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2人のエキスパートからの10のインサイトはいかがでしたか。Remergeの戦略ガイド「クリックを誘う効果的な広告デザイン」では、広告クリエイティブをデザインする際に知っておくべきあらゆる事柄についてご紹介しています。広告コピーの作成とレイアウトの最適化に関するヒントに加えて、さまざまなモバイル広告の分析とデザイン作業を開始する前に考慮すべきチェック事項を示している「早見表」も入手できます。